【タスクシフト】(2020年12月号)


時間外労働の上限規制と、それに違反した雇用者に対する罰則が明記された「働き方改革関連法」。医療機関にも2024年の適用が迫っている。医療従事者の使命感と自己犠牲に依存した働き方(働かせ方)は、もはや認められなくなりつつある▼医療従事者の〝働き過ぎ〟を抑制するための有効な対策として考えられているのが「タスクシフト」だ。手順書に基づいて診療補助の38行為を行う特定行為研修看護師を積極的に活用するというもの。これまでは研修の煩雑さなどから育成が思うように進んでいなかったが、一定の医療領域の特定行為をパッケージ化することで効率的な研修が可能になったという。さらに、人的資源の有効活用という点では、臨床検査技師や臨床工学技士へのタスクシフトを推進し、看護師業務の軽減を図っていく必要もあるだろう▼厚生労働省は昨年、424の公的病院の再編・統合の検討を求めて強く批判されたが、じつはこれも働き方改革の一環。ある程度の規模の病院に一定数以上の人員を集めないと、業務の効率化は難しいからだ▼医療従事者の働き方改革は、その使命感と切り離して考えることはできない。統廃合による大病院化よりも、人材育成によるマンパワーの充足によって実現するべきではないだろうか。