【まだ見ぬ明日を考える】(2015年4月号)


少子高齢社会。その未来を担う子どもたちには、「まだ見ぬ明日を考える」ための教育と訓練が必要だ。将来起こりうる事態を想定し、それを未然に防止するための方法と対処策を考えて事前に用意しておく▼日本産科婦人科学会など9団体は、「子どもを生み育てるのに必要な知識」を学校教育に盛り込むことを求め、少子化担当相へ要望書を提出した▼この30年で男女とも結婚時・第一子出産時の平均年齢が約4歳上がり、不妊や流産が増えていると指摘。妊娠・出産の適齢期など医学的に正しい知識を、中学・高校で教育することが必要だと訴えた。「まだ見ぬ明日」について、子どもたちが「想定」し「考える」ように訓練していこうというわけだ▼「湖に浮かべたボートをこぐように/人は後ろ向きに未来へ入っていく/目に映るのは過去の風景ばかり/明日の景色は誰も知らない」。フランスの詩人ポール・ヴァレリーは、その著作でこう書いた。だからこそひとは歴史を学び、過去から生きる知恵と教訓を得るのだろう▼要望書は意義のある内容だが、子どもたちが「まだ見ぬ明日を想定して考える」ためには、まず「これまでの経緯」をきちんと説明し「どうしてこうなったのか」についても正確に伝えなくてはなるまい。少子高齢社会は早くから想定されていたことなのだから。