【再生】(2015年3月号)


「再生」という言葉のもつ意味をあらためて考えてみた。キリスト教では復活や新生といった概念。仏教の捉え方ではこれが転生となる。仮死状態から生きている状態に戻ることなら蘇生や回生といった言葉で表せるだろう。ビジネスでは倒産した会社や破産した個人が事業や生活の再開・継続を図ることを「再生」という。不動産・住宅業界では盛んにリノベーションという表現が使われている▼薬事法から名称が変わった「医薬品医療機器法」。新法には従来の医薬品、医療機器に加え、再生医療製品という項目が新設された▼細胞を培養してつくる再生医療製品の品質にはばらつきが生じやすく、患者によって効果も異なる。このため大量生産される医薬品や医療機器と区別し、少ない治験数でも承認を得やすい制度を導入した▼国内で実用化された再生医療製品はいずれも患者自身の細胞からつくるものだが、欧米や韓国では他人の細胞を使ったものが普及しつつあるという▼現在、この分野の世界の市場規模は約13億円。これが2030年には1600億円超に急成長すると経産省では試算している。国際競争力を強化するために、国が後押ししたくなるのも当然だ▼〝再生医療ビジネス〟に対する国や製薬会社の思惑とは別に、その恩恵を多くの患者が早く、安心して享受できるようにしたい。