【罰則強化】 (2017年4月号)


実際とは異なる虚偽の賃金や待遇を示して労働者を集める「ブラック求人」。好条件に見せかけて求人するこうした手口を封じるため、厚労省では企業への規制と罰則を強化するという▼昨年発覚した自動車メーカーによる燃費データ不正問題を受け、政府は、虚偽報告をした企業への罰則を強化する内容の道路運送車両法改正案を閣議決定した。現行の「罰金30万円以下」から「1年以下の懲役もしくは3百万円以下の罰金」「法人に対し2億円以下の罰金」へ改正するという▼飲酒運転の罰則が強化されたことで、事故が減ったのは事実だ。厳罰化には、事故や犯罪への抑止効果があることは否定しない。しかし、なんでもかんでもルール化して罰則を強化しなければ〝悪事〞が減らないというのも情けない▼新国立競技場の当初計画をはるかに上回る巨額な建設費。不認可となった小学校への国有地売却。文科省の組織的な天下りあっせん。震災復興予算の流用と無駄遣い。議員の豪華な〝視察〞旅行。不透明な政務活動費や政治資金。築地市場の豊洲移転……。ルールが「法律」のかたちで定められているにもかかわらず、このザマはなんだ▼ルールをつくる側は、問題が起きると「罰則強化」で対応してきたが、自分たちは別らしい。まったくもって冗談ではない。法をつくり運用する側にこそ厳罰が必要だ。