【不合格】 (2019年7月号)


数多くの教え子たちを志望大学に合格させてきた実績を持つ予備校講師の話を聞く機会があった。「難関校にストレートで合格するような生徒に共通しているのは、学習計画に対する理解の深さです」という。この先生は受験生と徹底的に話し合い、本人が納得した学習計画に沿って合格へと導く。苦手科目を克服するために学習時間を割くべきなのか、得意科目を伸ばすことが合格への近道なのか、講師としての判断に基づいて学習計画を立て、じっくりと生徒に説明するそうだ▼「受験は入試日がゴールです。ビジネスと同じで、その期限までに最大限の成果を上げなければなりません。だから計画が大事なのです」。つまり、限られた時間を無駄なく有効に使うためには、計画に沿った効率的な学習が不可欠ということらしい▼この先生、「受験はゲーム」だと言い切る。「私はゲームの勝ち方を教えている」とも。だから「学習計画にないことをやって、それで勉強している、努力しているように見せる生徒」が最も手におえないという。「そういう生徒に限って、『合格すればいいんでしょ』などとぬかします。まあ、受かりませんけどね」と笑う▼商売でも同じだ。担当している商品をちっとも売らず、まともな販売計画を立てることもせずに「なにを売ろうと構わないでしょ」などという営業マンは不合格だ。