【〝七〟】 (2017年6月号)


諸葛孔明は、敵将の孟獲を捕らえるたびに逃がしてやった。それを7回も繰り返すと、さすがの猛将もこの天才軍師に心服するようになった。『蜀志』の丞相伝にあるこの故事から、相手を自分の思い通りにあしらうことを「七縦七擒(しちしょうしちきん)」という▼中国の故事には孔明のように有能な人物がたくさん登場する。晋の時代、布告文を書くように命じられた袁虎という役人は、主君の馬前で立ったまま、たちどころに7枚の長文を書き上げた。このことから名文をあっという間にスラスラと書ける才能のことを「倚馬七紙(いばしちし)」という▼これとは別に、すぐれた文才に恵まれていることを「七歩之才」という。曹操の死後、文帝に即位した曹丕が弟の詩才を妬んで「七歩あるく間に詩を作れ。できなければ死罪にする」と命じると、弟の曹植がすぐさま兄の無情を嘆く詩を作ったため、文帝は大いに恥じた、という故事。毎日のように締切時間に追われている新聞記者としては、なんとも羨ましい才能だ▼さて、本紙はおかげさまで「創刊七周年」。毎号「七不思議」のようなテーマを取り上げては「七難八苦」した挙句に「七転八倒」。そのたびに多くの取材先、執筆陣、読者諸賢から貴重な情報を得て「七転八起」してきた。今後も皆様の社業と同様に「七重八重」と紙齢を重ねていきたい。