【タダより高い物はない】 (2018年5月号)


惣菜店を経営する社長さん。青果店や精肉店から毎月届く請求書を見るたびに、「高いなあ」と思うようになった▼そこで調理長に「もっと安い業者を探してくれ」と指示。しかし調理長は「明細を見る限り食材ごとの単価は高くないです。ほかと比べるとむしろ安いくらい。あの金額で提供してくれる業者を見つけるのはたいへんですよ」という▼それでも社長命令なので、調理長は複数の業者に見積もりを依頼。しかし案の定、どこもさほど安くはならなない。そこでこれまでの取引先にさらなる値下げを要請してみた▼いずれも開店以来の長い付き合いだ。それなのに店が仕入先の切り替えを検討していたと知って気分を悪くした。「現状でもかなり無理をしている。それでも高いというのなら、どうぞほかから仕入れてくれ」▼早朝から仕込みに取り掛かる調理長は、総菜をつくり終えると先に帰る。あとは店長やバイトの仕事。最近では店長の方針で調理する品数も量も増えた。店長からは「お客さんは大満足だ」と聞く▼調べてみるとこの店長、大幅な値引きをしても売り切ることができなかった総菜は客に無料で配り、最終的には大量に廃棄処分していた。原価率の上昇はこれが原因▼社長さんは、外部の取引先に無理な注文をする前に、まずは内部のコスト意識の低さを改善する必要がある。