【〝八〟】 (2018年6月号)


「子建八斗」という。子建は曹操の五男・曹植の字(あざな)。天下の才能が一石あるとすれば、曹植の詩才は一人で八斗を有するという意味だ。石も斗も量の単位。一石は十斗だから、天下の才能のじつに8割を曹植がひとりで持っていたことになる。いやはや、なんとも羨ましい話だ▼無能非才の身としては、天才の真似をしていてもしょうがない。ひらめきやセンスは遠く及ばないにしても「永字八法」を繰り返し修練していけば、基本ぐらいは身につくかもしれない。「口八丁」に「手八丁」でごまかそうとすることばかり考えずに、地道に「射法八節」の気構えを持ち、一区切りずつでも竹の節のように努力を積み重ねていくしかないだろう▼しかし、なにごともやり過ぎは良くない。やる気に満ちた姿勢は大事だが、いっぺんに詰め込み過ぎると消化不良を起こす。「腹八分目に医者いらず」というではないか。オーバーワークが祟って「八方塞がり」になってしまっては身も蓋もない▼さて、本紙は紙齢を重ねておかげさまで「創刊8周年」。大企業にもいい顔をする「八方美人」の紙面づくりをすることなく、一貫して中小企業経営を「岡目八目」で見つめてきた。これからも読者諸賢の絶大なるご支持とご支援のもと、皆様の社業と同様に「八面玲瓏」として輝く媒体をめざしていきたい。