【「真摯に丁寧に」云々はもうたくさん】(2018年4月号)


政府はマイナンバーの利用範囲を拡大したいと考えているようだが、こんな国に情報を管理させていいのか▼たとえば医療の分野。個人の病歴がわかるようになれば、掛かりつけ医でのカルテが共有できて便利になるだろう。しかし、この国がその情報を改竄しないという保証がどこにあるのか▼学歴や成績を書き換えられてしまったら進学や就職に影響する。図書館で「爆弾の作り方」などという本を興味本位で借り出したことのあるひとは公安にマークされることだろう。生活保護を本当に必要としているひとのデータは故意に削除されるかもしれない▼所有する不動産や証券の情報も、銀行の預金残高も、海外資産の状況も、国に把握される。出入国の情報もキャッチされるだろうから、税制上の「居住者・非居住者」の線引きは当局の思いのままだ▼年金はどうか。「消えた年金」になることだけを心配しているのではない。情報改竄による横領などが発生しないと言い切れるのか▼結婚、離婚、出産の情報を握った役人が、それをネタに恐喝したり、ストーカー行為をしたりする危険はないのか▼政府はこれまで「そんなことは絶対にあり得ない」云々(うんぬん)と言い続けてきた。財務省の文書改竄問題が発覚する前にも同じようなセリフを嫌というほど聞かされた。結果はご存知の通り。信用しろという方が無理だ。