出産時の差額ベッド

消費税は非課税、医療費控除はNG


 診療報酬や入院費など、医療関係の出費には基本的に消費税がかからない。しかし入院するときに追加料金を払って個室に移ったり特別な食事を提供されたりした場合には、その差額には消費税がかかる。個室は最低限必要な医療サービスではないというのがその理由だ。

 

 しかし出産にかかる費用は例外で、個室料金や特別な病院食であっても消費税がかからない。たとえ結果として流産や死産をしてしまっても諸費用は非課税となっている。消費税については、出産は優遇されていると言えるだろう。

 

 ただし、医療費控除を受ける際には優遇されず、産院で利用する自己都合の差額ベッド代などは控除の対象とならない。治療のために必要な支出ではないというのがその理由とみられる。もっとも他の病室が満室だったり、そもそも産院が全室個室だったりという理由があれば控除対象となる点は押さえておきたい。

 

 また、病院から個室への移動を打診された場合には、差額ベッド代を支払う必要があるか確認するべきだ。厚生労働省の通知によれば、他の病室が満室であるなど患者自身の選択によらず差額ベッドを使わせる際には、「特別の料金を求めてはならない」とされている。差額ベッドを望んでいないのであれば、その旨をはっきり伝えるようにしたい。(2021/02/12)