倒産防止共済の掛金

保険積立金として処理する方法も


 「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」は、中小企業の連鎖倒産を防止するために作られた制度で、取引先企業が倒産してしまった際に無担保・無保証でまとまった額の資金を借り入れることが可能だ。掛金の全額を損金とすることができるので節税にもつながる。

 

 経営セーフティ共済の掛金は「費用」として経費処理するか、または「保険積立金」として資産計上するか、状況によって選択したい。

 

 「費用」として扱えば、経費計上した時点で会計処理が完結する。簡単ではあるが支払いのたびに処理する必要がある。また、積立総額を把握しにくくなる。

 

 「保険積立金」として資産計上した場合には、法人税の申告時に損金処理することになる。会計処理時と税務申告時に処理する必要があり、申告書での調整漏れや必要書類の添付忘れといったリスクもある。ただし、経営セーフティ共済の掛け金の上限である800万円を払い終わった後も資産計上されるため、積立総額を把握しやすい。

 

 また、資産として計上するため、決算書上の当期純利益や繰越利益剰余金が増えることになる。剰余金が多いと金融機関に好印象を与え、融資を受けやすくなるというわけだ。

 

 どちらの会計処理方法を選んでも支払う法人税の額は変わらないが、融資を受ける予定があるのなら「保険積立金」として計上するのが得策かもしれない。(2021/04/23)