不動産小口化商品で相続税対策

出口戦略がカギ


 「相続税対策は不動産対策に尽きる」と言われる。不動産は相続財産としての評価額を大きく抑えられることが理由だ。

 

 そこで注目されているのが「不動産小口化商品」だ。不動産小口化商品とは、出資者がお金を出し合って不動産を取得し、その運営をプロに任せ、収益を分配するというもの。多人数で出資するため好立地にある不動産など単独では購入できないような物件を運用できるうえ、出資者一人当たりの出資金額は抑えられる。また複数の不動産に投資してリスクを分散させることもできるのがメリットといわれる。

 

 不動産小口化商品にはいくつかのタイプがあり、そのなかでも代表的なものが出資者と運営事業者の間に組合を挟む「匿名組合型」と、出資者が直接運営事業者と契約を結ぶ「任意組合型」だ。相続税対策として考える場合には、共有持分とはいえ出資者が不動産を持つ形になる「任意組合型」のほうがメリットが大きい。

 

 一方の「匿名組合型」では、現金を出資しているかたちのため、相続財産としてみたときにはそのままの出資額で評価されてしまう。

 

 不動産投資である以上、思っていたとおりの利回りを実現できないケースや、運営事業者が倒産してしまう事態もありえる。また不動産を投資信託化したJ–REITなどに比べて市場が小さく、買い手が見つかりにくいというリスクもある。(2021/05/07)