年の途中で養子縁組

税優遇は「子になってから」


 12月31日までの1年間に110万円を超える贈与をすると、超えた分が課税対象になる。つまりその年のうちに贈与した額が110万円までならば非課税となる。暦年贈与といって、これが贈与税の基本的な仕組みだ。

 

 もうひとつの課税方式として「相続時精算課税制度」がある。2500万円までの贈与について、その時点での贈与税が非課税となり、相続の発生時に贈与分を含めて相続税の計算をする方法だ。

 

 相続時精算課税は、原則として60歳以上の父母や祖父母から、20歳以上の推定相続人(現時点で相続が開始すると相続人となる人)である子や孫に対して贈与があった場合に選択できる制度。

 

 では、年の途中に養子縁組をして推定相続人になった場合には、相続時精算課税を適用できるのだろうか。例えば2月に贈与があり、5月に養子縁組、10月に再び贈与があったとする。この年の贈与から相続時精算課税を適用すると、養子縁組後の10月の贈与は制度の対象になるが、縁組前の2月の贈与は暦年課税で計算しなければならない。

 

 年の途中で親子になったケースでは、養子縁組前の贈与については相続時精算課税を適用することはできない。しかし、2月の贈与についても110万円の暦年課税の控除枠を使うことは可能だ。なお、相続時精算課税の受贈者側の条件である「20歳以上」とは、その年の1月1日時点の年齢であることも覚えておきたい。(2021/04/30)