「トンチン年金」ってなに?

長生きするほど得をする!?


 長生きすればするほど多くの年金を受け取れる民間保険「トンチン年金保険」をご存じだろうか。決してトンチンカンなものではない。聞きなれないこの名称は、制度を考案した17世紀のイタリア人銀行家、ロレンツォ・トンティ氏にちなんでつけられたものだ。

 

 長く生きた人の年金が増える理由は、早くに死亡した人や途中解約した人の受け取り分を少なくして、年金の原資に回す仕組みになっているため。日本の商品は途中解約が可能だが、厳密な意味でのトンチン保険は解約不可で、一定年齢まで生きなければ大きな損となる。

 

 たとえば、50歳から年間60万円(毎月5万円)の保険料を支払えば70歳以降は毎年60万円の年金を受け取れるとする。50歳からの20年間で支払った保険料の総額は1200万円。90歳になる前に死亡したら受け取る年金が払い込んだ保険料を下回ることになり、損をする。

 

 90歳まで生きれば支払った額と同じ1200万円を受け取れ、その後も1年経つごとに60万円ずつ得していくというわけだ。蓄えた財産を老後に使い果たしてしまう〝長生きリスク〞への対策として一考の価値はあるだろう。(2018/02/07)