税金が安いと球団が強くなる?

プロ選手の年俸と税率


 ホームタウンの税金が安いほどプロスポーツチームは強くなる――。米国で最も人気のあるプロスポーツ、アメリカンフットボールを題材にした研究で、そんな事実が明らかになったそうだ。

 

 ウィーン経済産業大学の教授が発表した論文によれば、1994年から2016年までの23年間の「NFL所属チームの成績」と「球団所在地の個人所得税の税率」を調べたところ、最も税率の高いカリフォルニア州のチームは同税のないフロリダ、テキサス、テネシー、ワシントンのチームより年平均2・75勝少なかったという。

 

 また16年間で、プレーオフへ進出したチームとできなかったチームの税率を比べたところ、前者より後者のほうが3割税率が高かったそうだ。

 

 この研究結果にはNFLならではの事情が大きな影響を及ぼしている。NFLでは戦力均衡化のために厳しいサラリーキャップ(年俸上限)が定められていて、有名選手らの年俸は横並びとなる傾向にある。また、米国では州ごとに個人所得税などの税率が大きく異なるため、同じ年俸を受け取っても実際の手取り金額には差が出てしまう。

 

 論文では、税率7・4%のオハイオ州から5・3%のメリーランド州にホームタウンを移転したレイブンズ(旧ブラウンズ)を挙げ、本拠地の移転によって年平均1勝を上積みし、01年にスーパーボウルを制したエピソードを紹介している。

 

 もっとも、この論文だけでは、税率とチームの成績に因果関係があると証明されたわけではない。ただし、報酬の多寡が仕事へのモチベーションに直結するのは自然な話でもあり、一定の説得力はありそうだ。(2020/12/09)