遺産分割 4つの方法

相続人の話し合いで選択可能


 遺産分割には、大別して4つの方法があるので認識しておきたい。

 

 最もポピュラーな「現物分割」は、残された財産を物理的に相続人の間で分ける方法で、長男が自宅、次男が預金、三男が別荘など、話し合いによって決めることができる。だが、現実の相続ではなかなか簡単にはいかない。

 

 例えば遺産が自宅しかないような場合に採用されるのが、自宅を相続した長男が次男に現金を渡す「代償分割」という方法だ。このとき長男が渡すのは現金に限らず、自分の所有する不動産や株式などでも構わない。ただし、現金以外であれば、その不動産や株式を売却したものとして所得税や住民税がかかることに注意しなければならない。

 

 相続人が同意したうえ遺産を売却し、その換金を相続人で分ける「換価分割」という方法もある。相続人の一人が飛びぬけて高額な財産を相続したものの、他の相続人に代償分割として渡す現金がないときなどに使える。財産を売却するときには所得税(譲渡所得)がかかることがあるので事前に十分に精査したい。

 

 そして4つ目の方法が「共有分割」だ。遺産を共有で相続するもので、別荘や大規模マンションを長男と次男で2分の1ずつ相続して共有財産とする。遺産分割協議がまとまらないときに、取りあえず決断を先延ばしするために行われることも多い。

 

 ある財産には代償分割を使い、別の財産には換価分割を使うなど、複数の方法を組み合わせて使うことも可能となっている。遺産分割協議で十分に話し合って、最善の方法を選びたい。(2020/12/11)