相続税の延納制度

分割払いには利子税が加算


 国の税金は金銭で一度に納付するのが原則だが、相続税や贈与税に限っては、その特性から納税額が大きくなることに加え、残された財産の現金化が困難な場合もあるため、分割払いを可能にする「延納制度」が設けられている。

 

 延納が認められるには、相続税額が10万円を超え、一度に払うのが難しい理由があって、そして延納税額に見合う担保を提供できることが条件となる。担保として認められるのは国債、地方債、社債その他の有価証券、土地、建物、立木、自動車、船舶、機械など。ただし、延納税額が100万円以下で延納期間が3年以下であれば担保は不要となる。

 

 税金の分割払いには、当然ながら一定の利子が必要になる。この利子も「利子税」という名称で、れっきとした税金の一種だ。類似の名称の税金として延滞税があるが、これは納付期限までに税金を納めなかったときに課税されるもので、利子税とは異なる。

 

 毎回の支払いは、予定金額より多く納めることが可能。そして利子税の異なるものが2つ以上あったときの充当の順序はあらかじめ決められている。真っ先に充当されるのは、動産などにかかる延納相続税額で、次が不動産または立木などにかかるもの、そして緑地保全地区内などの土地にかかる額で、最後が計画伐採立木となっている。ただし、納税者が特に指定すれば、この順序にかかわらず充当することができるので覚えておきたい。(2018/05/07)