子どものバイト代

103万円超なら扶養控除適用外


 所得税の確定申告期間が終了すれば、税務署ではその事務処理に追われることになる。税務職員の忙しさは、じつは確定申告終了直後からが本番だ。そんな時期に増えるのが「扶養控除の適用を誤り、還付金をもらい過ぎた」という会社員からの相談だという。

 

 扶養控除は納税者と生活を共にしている合計所得38万円以下の扶養親族がいる場合、納税者の所得から一人につき38万円を差し引くことができるというもの。大学生なら控除額は63万円まで拡大される。

 

 扶養控除は子の年収が103万円を超えると適用できない。しかし親としては、まさか子どものアルバイトで103万円を超えるほどの収入があるとは思わずに扶養控除の対象としてしまうのだそうだ。

 

 通常、ビジネスマンは会社が行う年末調整で全ての課税関係が終了する。だが、こうした事態が発覚した際には、すぐに源泉徴収義務者である会社にその事実を伝え、会社が正しい控除額に基づいて年末調整の再計算を行い、徴収不足となっている源泉所得税を当該社員から徴収して税務署に納めることになる。

 

 もしも、手続きをせずに放っておけば、税務調査で会社が「年末調整ミス」を指摘されかねない。社員による扶養親族の申告間違えなので「責めに帰すべき事由」が会社にはないため不納付加算税を課せられることはないだろうが、会社の担当者に余計な事務処理の手間が増えるのは間違いない。そこで、総務課長に怒られることを避けたい社員の多くが、申告ミスを会社に告げずに、本人が自ら税務署に赴くケースが増えるのだそうだ。

 

 源泉徴収業務のやり直しは社内の担当者も全ての従業員も、余計な手間とストレスになりかねない。子どものアルバイト代も可能な限り把握しておくように、従業員には周知しておいたほうがよいのかもしれない。(2018/05/08)