必ず調査が来る?欠損金の繰戻還付

躊躇せずに請求を


 今期が赤字で前期が黒字という場合、前期に納めた税額のうち一定の算式で計算した金額が還付されるのが「欠損金の繰戻還付」と呼ばれる制度だ。かつては一定の法人を除いて原則不適用だったが、2009年の税制改正で資本金1億円以下の法人についても使えるようになった。

 

 中小法人としてはありがたい改正だったが、この欠損金の繰戻還付制度を使って、税金を還付してもらうと必ずといっていいほど税務調査があると言われる。そのため制度の利用を躊躇することも少なからずあるようだ。

 

 「必ずといっていいほどある」という税務調査の話は実は本当のこと。法人税法で「税務署長は、還付請求書の提出があった場合には、必要な事項について調査し、法人税を還付し、又は請求の理由がない旨を書面により通知する」と規定されているためだ。

 

 調査の時期については確定されていないが、還付加算金が申告書の提出期限の翌日以後3カ月を経過した日から発生することになっているため、それまでに調査があるといわれている。ただし、勘違いしてはいけないのは、「調査」といっても、通常の税務調査のように事前通知を受けた後に調査官がやってきて、根掘り葉掘りと聞かれるものではないということだ。

 

 調査はいわゆる「机上」での調査も含まれ、ほとんどの場合で何もなく還付が実行される。問い合わせがあったとしても電話で簡単な質問を受けたというケースがほとんどであるため、「コワい調査がやってくる」というウワサだけを信じて還付を諦めるのはもったいないことだ。(2018/08/20)