大学病院にも〝忖度〞はあるようだ。三重大学付属病院の医師が手術で薬剤を投与したように電子カルテを改ざんし、診療報酬を不正請求していた問題。病院長は「臨床麻酔部の医師が単独で行ったと認定された」と、第三者委員会による調査結果を明らかにした▼この医師は、上司の推奨する薬剤の使用実績を上げるため、改ざん行為に及んだという。その理由として「上司によく思われたかった」と話しているというからあきれる。大学関係者によると医師は40歳代の准教授、上司は50歳代の教授だという▼第三者委の調査で、教授は「合併症を減らせる効能がある」として、抗不整脈剤「ランジオロール塩酸塩」の使用を推奨。准教授は約2年の間、この薬剤を生理食塩水に溶かして手術室に持ち込み、点滴使用できる状態にしていた。手術で使わなかった場合には廃棄していたという▼薬剤の使用実績が伸びれば製薬会社にアピールできる。第三者委によると、製薬会社と2人の間に金銭の授受は確認できなかったというが、こんなことのために薬剤を投与された患者はたまったものではない▼独立法人とはいえ、国立大学も所詮は役所と同じ。お金や人事に絡むことで上司に〝忖度〞しないような役人は、出世できないということか。