【目配り】(2020年9月号)


日本病院会など3団体が行った「病院経営状況緊急調査」によると、全国約1200病院の4月の医業収入は前年同月比マイナス10・5%。全体の3分の2にあたる66・7%が赤字で、コロナ患者を受け入れた病院だけでみると78・2%が赤字だった。3団体では「病院への緊急的な助成がなければ、地域での医療崩壊が強く危惧される」と危機感を露わにしている▼東京保険医協会が都内の無床診療所を対象に実施した「6月上旬の保険診療収入について」のアンケート調査によると、「5割減」との回答が耳鼻咽喉科で31%、小児科では22・7%。「6割減」「7割以上減」を合わせると耳鼻咽喉科は77%、小児科は65%にも達した。内科でも「3〜5割減」が合計で55%に上る▼患者の減少は新型コロナのせいだけではない。高血圧や糖尿病などの患者に対して一度の受診時に2カ月分の薬を長期処方するなど、来院回数を減らして患者の負担軽減を図ってきたことも影響している▼受診抑制が続いた場合、資金繰りに行き詰まる診療所が相次ぐ可能性がある。一般の外来患者が減ったということは、その分の国の医療費負担も減っていることを意味する。国のコロナ太りは許されない。いまこそ医療全体へ目配りした実効性のある対策が必要だ。