1985年の着工以来、1兆円を超す税金が投じられながら、2016年に廃炉が決定した高速増殖炉もんじゅ。運転していなくても1日に5500万円もの維持費がかかっていたというが、実際に発電していた期間は延べ4カ月程度。2047年までに1500億円をかけて廃炉を完了させる計画だが、こうした見通しが正確だったためしはない。新国立競技場の建設費ですら当初予算を大幅に超過しているというのに、使用済み燃料などの核廃棄物処理を含む廃炉が計画通りに進むとは到底思えない▼長い時間と多大な労力、そして巨額の費用を投じた挙句に頓挫した計画。しかもその後始末のために今後も大いなる無駄が生じてしまうわけだ▼中小企業でも同じようなことが起きていないだろうか。短期間で終わるはずの計画が何年経っても完了しない。担当者に進捗状況を確認すると「もう少しです」と繰り返すばかり。さらには「予算が足りない」などと言われて追加資金を投下。それでも中途半端なものしかできず、結局はほかの社員まで動員することになってしまう▼計画には無駄と失敗がつきものだが、それが許されるのはチャレンジした結果としてのものだけだ。挑戦する意欲も、コスト意識も待たないまま、ただ時間と資金を費やしているだけの計画ならば、即刻見直さなければならない。