ふじい・ひろし
昭和5(1930)年生まれ、東京都出身。終戦直後の昭和20(1945)年9月6日に起きた旧国鉄の「中央線笹子駅構内脱線転覆事故」(死者60人・負傷者91人)で両親を亡くす。当時15歳だった藤居は事故の10日後、身元確認のために掘り起こされた両親の遺体を自らの手でひと晩かけて火葬したという。以後は土木作業員などとして働き祖母、妹、弟を養いながら学資を捻出し、旧制府立中学校を経て昭和28(1953)年に一橋大学経済学部を卒業。同年、第一銀行(現・みずほ銀行)へ入行する。一橋で体育会ラグビー部に所属していた藤居は、入行半年後にラグビー部を創設し、部長時代には社会人1部リーグへの昇格を果たした。銀行では支店長、取締役、常務を歴任。昭和61(1986)年、帝国ホテルへ副社長として転出した。平成9(1997)年には社長に就任。サービス重視の徹底によるブランドイメージの再構築に手腕を発揮した。平成24(2012)年6月、82歳で死去。平成25(2013)年10月以降、有名ホテル・レストランによる食材偽装問題が相次いで表面化したが、帝国ホテルでも外部から購入した瞬間冷凍非加熱加工品の「ストレートジュース」を「フレッシュジュース」とメニューに表記していたことが発覚している。