ささき・やそはち

明治7(1874)年、京都で代々べっ甲商「和泉屋」を営む佐々木家に生まれる。八十八夜に生まれたので「八十八」と名付けられた。14 歳のときに父親が死去したことで独立心が芽生え、舶来雑貨を扱う貿易商を志す。明治23(1890)年には大阪の唐物問屋(輸入雑貨販売店)「大由」に入社した。明治31(1898)年、佐々木家を相続するはずだった異父兄が死去したため家督を相続。明治35(1902)年に独立し、大阪でレナウンの前身となる「佐々木八十八営業部」を創業した。肌着、香水、かみそり、毛布、布団、タオル、帽子、ネクタイなどを輸入販売して大成功を収め、神戸に豪壮な邸宅を構える。大正7(1918) 年には三女の惇子(ファミリアの創業者)が誕生。大正11(1922)年、英国の皇太子が戦艦レナウンで訪日したことから、艦名の「レナウン」を商標登録。「昔舶来、今レナウン」のキャッチコピーで宣伝活動を展開した。大正12(1923) 年には大阪市東区会議員となり、会社経営を支配人の尾上設蔵に任せて政治活動を本格化。昭和6(1931)年には貴族院多額納税者議員となり国政に進出した。大正15(1926) 年、「佐々木営業部」に商号変更するとともに、高級メリヤス製造の「レナウン・メリヤス工業」を設立して脱輸入・国産化に取り組んだ。昭和19(1944)年、戦時法制の企業再建整備法によって江商(後の兼松江商、現在の兼松)との合併を余儀なくされるが、終戦から2年後の昭和22(1947)年には尾上清(支配人だった尾上設蔵の長男)らが中心となって分離独立し再発足を果たした。昭和32(1957) 年、83 歳で死去。