ビットコインが秘める可能性

1年で15倍に急騰


 仮想通貨「ビットコイン」への投資が熱を帯びている。1コイン当たりの価格は昨年1月時点では11万円前後だったが、1年足らずで10倍以上に上昇し、同年12月上旬には一時期150万円を突破した。まさにバブルと呼べる様相で、税務上の取り扱いも規定されるなど、制度としてもようやく足元が固まってきた状況だ。現状は投機対象として存在感を発揮するが、今後はビジネスへの利用も期待される。ビットコインを巡る現状と、税金面での注意点を見てみる。


 ビットコインはインターネット上で円やドルと交換できる「仮想通貨」の一種だ。通貨の名のとおり、世界中で様々な経済活動に使え、その価値もまた円やドルと同様、他の通貨との関係性のなかで変動する。2009年に発行を開始して以来、通貨としての価値を高め、日本でも投資の対象として購入する人が急増したことから、政府は現状を追認するかたちで、昨年4月に仮想通貨の取り扱いを定めた改正資金決済法を施行するに至った。

 

 同法では初めて「仮想通貨」の法的な定義を明示し、①不特定多数の人に対する支払いに使用でき、円やドルなどの法定通貨と交換できる、②電子的に記録され、移転できる、③プリペイドカードのような、従来の法定通貨建てによる資産ではない――という特徴を満たすものを仮想通貨と位置付けた。もちろんビットコインはこれに当てはまる。

 

 ビットコインを買うためにはまず、インターネット上に複数あるビットコイン取引所のウェブサイトでアカウントを開設する必要がある。本人確認などを経てアカウントを取得できれば、同取引所からインターネットバンキングや銀行振込などを通じて実際にコインを買うことができるようになる。売却も同じサイトから行う。

 

 取引所は無数に存在し、日本では、国内最大手と言われる「ビットフライヤー」などが有名だ。注意したいのは、それぞれの取引所は破たんする可能性がある点で、14年には当時大手だったマウントゴックスが破たんし、ユーザーが所有していた大量のビットコインが失われるという事件があった。価格変動が大きいだけに、何があってもおかしくないというのが現在のビットコインだろう。

 

 なお破産したマウントゴックスは、その後数年間でビットコインの価値が10倍以上に急騰したため、所有する資産価値が上昇し、なんと負債額を上回って破産手続きを中断する検討が始まったという。ビットコインの値動きの激しさがうかがえる話だ。

 

税金面では損得どっち?

 現在は投機対象として大量のマネーが流れ込んでいる状態で、バブル的な危うさを指摘する声もあるが、そもそもビットコインの特徴としては、手数料が少なく、国外にも迅速に送金できるなど、ビジネスへの活用の可能性が挙げられていた。すでに国内でもビットコインを取引通貨として採用し始めている例はあり、家電量販店のビックカメラや旅行代理店のエイチ・アイ・エスはビットコインによる支払いを受け付けている。

 

 将来的にはビジネスで利用する企業が増えていくことが予想されるが、そこで気になるのは「税金」だ。従来にない概念だけに過去の実例もなく、所得の計算も分かりづらい。仮想通貨にはどのような税が課されるのか、国税庁が昨年12月1日にFAQ形式の解説を公表したので、すでにビットコインを所有していて確定申告を控えている人を含め、その取り扱いを確認しておこう。

 

 まずビットコインを売却したことによって得る利益は、原則として所得税法上の「雑所得」となる。公的年金や原稿料、印税と同じく、他のどの区分にも当てはまらない所得というわけだ。そして所得の額は、取得時の1コイン当たりの価額に売却時に支払ったコイン数を掛けて、売却価額からマイナスして計算する。

 

 例えば4ビットコインを200万円で購入し、そのうち0・2コインを11万円で売却すると、①取得時の1コイン当たりの価額が「200万円÷4コイン= 50 万円」、②それに売却コイン数を掛けて「50万円×0・2コイン=10万円」、③売却価額からそれを引いて「11万円―10万円=1万円」――で、1万円の所得となる。

 

 ビットコインの特徴として、運用団体の内部対立などにより、一部が新規格の「ビットコインキャッシュ」や「ビットコインゴールド」といった複数の仮想通貨に分裂することがある。分裂が起きた時の取り扱いについて国税庁は、「分裂に伴って取得した新たな仮想通貨については、その取得時点では所得は生じず、売却または使用した時点で所得が生じる」との判断を示している。

 

事業所得なら損益通算も

 最も重要なのは、ビットコインは原則として「雑所得」だが、例外があるという点だ。例えば会社が事業用資産としてビットコインを所有し、決済手段として利用する時に生じた損益は、雑所得ではなく「事業所得」に含まれる。また仮想通貨取引そのものを事業として行っている時にも、雑所得ではなく事業所得と認められる。これはビットコインの運営に参加して報酬として新たなビットコインを得られる「マイニング(採掘)」でも同様だ。

 

 雑所得なら、上場株式などの売却にかかる譲渡所得とは異なり、損益通算や損失の繰越ができない。一律で約20%の税率が課される株式に比べ、最大45%の累進税率が適用される。投資対象として見たとき、税金面ではビットコインは優遇されているとは言えない。だが利用が事業目的で、収入が事業所得と認められれば損益通算なども認められる。税金面での扱いが大きく変わってくるわけだ。

 

 仮想通貨がさらに普及するのに伴い、今後は税務上での解釈をめぐる争いが起きることも予想される。キャッシュレス化と仮想通貨の拡大は世界的な流れでもあり、事業を行う以上無関係であり続けることはできない。動向に注目しながら、税金面で損をしないようにしたい。

(2018/02/02更新)