【治療の第一歩】(2017年11月号)


採血・採尿やレントゲンなどの臨床検査の結果を十分に理解している患者は全体の3割に満たず、4割の患者は「医師が説明してくれなかった」と感じているなどとする調査結果を、日本臨床検査薬協会がまとめた▼今年2月、国内の20〜69歳の男女1千人を対象に、インターネットで実施した意識調査の結果だ。「理解できた」という回答はわずか28%。「少しだけできた」が51・7%、「できなかった」が20・3%だった。「できなかった」割合は年齢が若いほど高く、20代は28・5%、30代は27%となっている▼検査内容と結果を医師が「説明してくれた」と回答したのは、「必ず」と「多少」を合わせて59・6%。これに対し「説明してくれなかった」は、「あまり」と「ほとんど」を合わせて40・4%で、協会では患者が検査に疑問や不安を持つ可能性があると分析している▼患者の心は常に不安に満ちている。病気やケガで気力も体力も弱っているのだから当然だ。そこにきて、検査結果を示す書類には見慣れない専門用語やアルファベット、数値が並んでいる。患者側にも一定の知識がないと医師に説明を求めるのは難しいだろう▼検査結果を知ることは治療の第一歩。用語や数値を簡単に説明した冊子やプリントを配るなど、自院でもできる取り組みを進めていきたい。