【必ずニッチな市場が生まれる】(2014年10月号)


厚労省によると2013年度の医療費は約39・3兆円となり、11年連続で過去最高額を更新したという。医療・介護・年金など、増え続ける社会保障費が財政健全化に向けての大きな負担になっていることは間違いないが、「医業」というビジネスから考えれば「市場が拡大している」と捉えることもできるだろう▼土木業界では毎年、公共工事費の増減に一喜一憂しているし、「教育資金一括贈与」や「住宅資金贈与」などの税優遇制度が拡充されたことで教育・住宅業界は活気づいている。ご存知の通りアメリカでは、軍需産業向けの予算を削減した大統領が再選されなかったこともあるほどだ▼それなのに医療費は、「11年連続増加」で、ついに「40兆円目前」という、なんとも巨大な規模の〝マーケット〟へと〝成長〟しているのだから、院長先生は医業経営者の立場から「喜ばしい」と感じてもいいはずだ▼だが、医業の現実は大きく異なる。高齢社会でお年寄りの受診は増えたが、少子化で子どもの患者数は激減。雇用の流動化によって若者を中心に保険未加入の労働者も増えているという▼市場が拡大、あるいは縮小する局面では、必ずニッチな市場が生まれるといわれる。医業も決して例外ではないだろう。自院で取り組めるニッチな新サービスとはなにかを考える機会にしたい。