【一網打尽】(2017年9月号)


日頃の暴飲暴食と運動不足、深夜までの接待の連続などによる不摂生がたたり、まさに自業自得で痛風を発症した患者がこうぼやく。「整形の先生、レントゲンを撮ったり採血や採尿をしたり、いろいろやってくれたけど、あれって本当に必要な検査だったのかなあ」▼ひとつの検査で診断が下せるようになれば、医師も患者も大助かりだ。さらに、ひとつの検査で複数の病気の診断ができるようになれば、もっと楽になることだろう。ましてや、たった1滴の血液で13種類のがんを発見できる検査法が開発されたとなれば画期的なことだ▼国立がん研究センターが、血液1滴で13種類のがんを早期発見できる新しい検査法の臨床研究をスタートした。早ければ3年以内に国に事業化の申請を行うという。人間ドックなどに導入されれば、がんによる死亡を減らせる可能性がある▼がん患者ら約4万人の保存血液で乳房や肺、胃、大腸、食道、肝臓、膵臓など13種類のがんを検査。「病期(ステージ)」が比較的早い「1期」を含め、じつに95%以上の確率で診断できたという。今度の臨床研究では、患者や健康な人約3千人から提供してもらった新しい血液を使う▼実現すれば一石二鳥どころではなく、13もの病気を〝一網打尽〞にできる検査法だ。早期の実用化を願いたい。