【リードでズバリ】(2016年2月号)


本紙主任記者Kの父親(68歳)が肝臓がんと診断された。幸い発見が早く、術後の経過も良好とのこと。K主任もようやくほっとしたところだが、主治医の先生には少しだけ不満があるらしい▼「『話の順番』がちょっと…」という。早期発見・早期治療の好例になるほど、健診から手術まできわめて短期間で終わらせることができた。それなのに、なにがそんなに不満なのかと聞くと、「後日、手術前の病状から順を追って丁寧に分かりやすく、ドクターが説明してくださいましたが、患者とその家族としては『早く結果が知りたい』わけでして…」▼父親がガンを患っていると知らされる。手術当日、兄弟が駆けつけてきて、妹たちは父の枕頭で涙ぐんでいる。手術は成功したと伝えられひと安心するが、後日、術後の経過を聞かされるときにはまたもや不安になる▼「もう、オヤジも私もドキドキでしたよ。ああいうときは、とにかく最初に結論を言ってから、詳しい説明をしていただきたいものです。〝リードでズバリ〟が大事です」▼「リードでズバリ」は新聞記者が記事を書くときの鉄則。前文(リード)に結論を書いてから、本文で詳細を報じる。ドクターがなんでもズバリと言うわけにはいかないだろうが、患者とその家族に最適な「話の順番」は、ぜひとも心がけたい。