【自慢話】 (2020年4月号)


日本のキャリア官僚は優秀だ。お世辞でも嫌味でもなく、偽らざる本心。長いこと霞が関を取材してきたからこその実感だ▼頭がいいのは当たり前。だからガリ勉タイプが多いかと思いきや、インターハイや国体といった全国レベルの大会に出場したことのあるスポーツ経験者も多い。部活をしながら東大に合格しているのだからまさに文武両道。気さくで腰が低く、爽やかで明るい。そして体力もある秀才。まさにエリート。それがキャリア官僚だ▼キャリアに対するこうしたイメージは、いまも少なからず抱いている。だから、「記憶にない」という答弁を繰り返し、「記録を廃棄した」あげくに、公文書の改ざんにまで手を染めていた財務官僚には驚いた。その一方で「あったものをなかったことにはできない」と毅然と述べる文科官僚もいた▼しかし、人事院の局長が国会で「つい言い間違えた」と発言するとは夢にも思わなかった。「検察官に定年延長は適用されないと伝統的に解釈されてきた」。局長はそう答弁した。ところが政権が解釈変更を言い出したため、1週間後にはその答弁を「言い間違い」として撤回した▼局長は後輩にこう呼びかけている。「過去の苦しい経験は、忍耐力を培うのみならず、歳月を経て懐かしい思い出や楽しい自慢話に化けるものです」。これが自慢話になるのか、官僚よ。