【約束は守ろう】 (2017年12月号)


衆院選で首相が掲げた「幼児教育・保育の無償化」。「すべての子どもたちに」と力強く訴えていた。しかし、認可外保育施設を対象とするかしないかで政府の方針は揺れている。選挙で圧勝したら公約ともいえる政策にブレが生じる。首相の言葉とはこれほど軽いものか▼札幌・中央区の「さんようこどもかん」も認可外保育施設だ。認可を取得する条件も揃っていたが、あえて認可外で運営していく道を選んだのには理由がある。例えば認可保育所の場合、0歳から3歳未満を対象とする「小規模認可保育所」の定員は6人以上19人以下と定められているため、その年齢の子どもを預けたいと望む家庭が多い地域ではニーズに応えきれない。また「夜間認可保育所」であっても、子どもを預かれるのは午後10時まで。「認可」を受けてしまうと乳児保育はもちろん、3歳未満児の保育や24時間保育を実践できないわけだ▼認可を受ければ補助金なども出て経営的には安定する。だが「必要とされている保育」を実践するために認可外の道を選んだと園長の鈴木一樹さん(36)はいう。こうした若き経営者と、その仲間たちの情熱によって、この国の保育はかろうじて支えられている▼一億総活躍社会、女性が輝く社会を実現するというのなら、選挙での約束くらいは言葉通りに実行してもらいたいものだ。