【〝四〟】(2014年6月号)


「四海兄弟」という。真心と礼儀を尽くして他者に交われば、世界中の人々はみな兄弟のようになるという意味だ。「四書五経」のひとつ、『論語』(顔淵篇)にある▼「四海為家」ともいう。天下を放浪する様という意味もあるが、帝王の統治権が広域に及び、その事業が盛んなことの例えとして使われるのが一般的だ▼中国とベトナムの艦船衝突で緊迫する南シナ海。東シナ海の尖閣諸島をめぐる動きとあわせ、中国は「四海」を「家」だと思っているようだが、いまこそ孔子様の教えに従い、即刻、砲艦外交をやめるべきだ▼アジア諸国は道義的な勇気を持って、この隣国と「四つに組む」姿勢を示さなくてはなるまい。「四つの目は二つの目より多くを見る」のだから、各国は「四分五裂」した状態で個別に対峙するのではなく、連携して「四つに渡り合う」必要がある▼「四通八達」で交易を盛んにするのなら結構だが、このまま「四方八方」に敵をつくるようなことばかりを続けていては、最終的に「四面楚歌」という状況にもなろう。「丸い卵も切りようで四角」だ。わざわざ角を立てるようなことはせずに、円満な関係を構築してもらいたい▼『社長のミカタ』は「四六時中」「四苦八苦」しながらも、おかげさまで「創刊四周年」。どうしても「四角四面」になりがちな税金や経営の話題を、できるだけ丸く書いていきたい。