【五月病】(2014年5月号)


五月病は新入社員や新入生が陥りやすい症状だ。新しい環境に適応できないことに起因する精神的なもの。5月の連休が明ける頃に職場や学校へ行く気がなくなり、身体や心の不調を訴えるようになってしまう▼2月に亡くなった詩人の「まど・みちお」さんの『一ねんせいになったら』は、そんな「1年生」を勇気づける言葉が満載の唱歌だ。友達を百人つくったら、一緒に富士山の上でおにぎりを食べ、日本中をひとまわり駆け、世界中で笑いたいと、スケールが大きい▼「友達できるかな」という不安はほんの少しだけで、「こうしたい」という思いはどれも明確だ。やりたいこと、つまり目的がはっきりしている「1年生」は、5月になっても元気な歌声を聞かせてくれることだろう▼104年を生きた詩人には、ほかにもたくさんの名作がある。「お鼻が長いのね」と言われた子ゾウは、「そうよ母さんも長いのよ」と嬉しそうに応じる。自らの持つ他人との差異を肯定し、むしろ誇らしくさえ思っている。『ぞうさん』の歌詞にはないが、「お母さん大好き」という子ゾウの声が聞こえてきそうだ▼手紙が届くたびに読まずに食べてしまう困ったヤギさん(やぎさんゆうびん)も、たたくたびにビスケットが増えるポケット(ふしぎなポケット)も、まどさんの作品。「1年生」にあらためて歌わせたいものばかりだ。