3県目に支店を開設

法人事業税の税率アップに注意


 売上が伸びているので、支店を増やすこととなった。今までは1号店である本店に加えて隣県にも2号店として支店を持っていたが、さらに別の県に3店目を展開したい――。

 

 3県目への出店は慎重に考えたい。なぜなら、法人事業税の税率が高くなってしまうからだ。地方税である法人事業税には、「軽減税率不適用法人」と「軽減税率適用法人」という独自の基準がある。軽減税率不適用法人とは、事業年度終了日に「3以上の都道府県に事務所等を設け、かつ、資本金の額または出資金の額が1000万円以上」の法人を指す。この基準を満たす会社は事業規模が大きいとみなされ、高い税率が適用されてしまうのだ。

 

 軽減税率が適用される法人であれば、法人事業税の標準税率は所得のうち年400万円以下は3・5%、400万円超800万円以下は5・3%、800万円超は7・0%とされるところ、不適用法人では全て7・0%の税率が適用される。

 

 例えば所得金額が2千万円だったとすれば、3県目に出店する前の税負担は119万2千円だ。しかし3県目に出店すると税額は140万円となり、所得は同額にもかかわらず税金だけが約20万円増えてしまう。(2020/05/01)