孫が相続すると不動産取得税?

対象は民法上の相続人


 土地所有者である父親が、息子に加えて孫にも土地を残すという遺言を残して亡くなったとする。遺言どおりに遺産は分割され、しばらくすると役所から孫に宛てて通知が届いた。それは相続で引き継いだ土地の「不動産取得税の納税通知書」だった。

 

 同じように土地を相続した息子には、この通知は届かない。不動産収得税は、家屋の新築や増築、改築、土地や家屋の購入、贈与、交換などで、新たに不動産を取得した際に課税されるものだ。ただし、相続によって不動産を取得した場合には課税されないこととなっている。

 

 この規定の対象となっているのは民法上の「相続人」による不動産取得に限られる。民法上の相続人とは亡くなった人の配偶者、子ども、親、祖父母、兄弟姉妹までを指し、孫は含まれない。

 

 不動産取得税以外でも、孫への遺産引き継ぎは、その父親がすでに亡くなっている「代襲相続」のケースを除いて、相続税の2割加算ルールが適用される。

 

 また、法定相続人でない孫に遺産を取得させるためには遺言が不可欠だ。遺言なしでも、一度その父親が財産を受け取って、その後で生前贈与するということもできるが、相続税に加えて贈与税もかかることになってしまう。孫に財産を引き継ぎたいのなら遺言を書いておくようにしたい。(2020/05/08)