花粉症対策の諸費用

医療費控除の対象は?


 今年の花粉の本格的な飛散は2月上旬から始まり、3月~4月にピークを迎えるそうだ。花粉症対策のうち抗アレルギー作用のある市販薬などにかかった費用は、10万円を超えた分を所得から差し引ける「医療費控除」の対象となる。

 

 例えば、花粉症対策として鼻炎薬や目薬をドラッグストアで買う人は多いだろうが、これらの薬は原則としてすべて医療費控除の対象だ。もちろん病院にかかった費用も控除対象で、病院への交通費も医療費として計上できる。

 

 花粉症がひどい人なら、毎年、花粉が飛散する前に病院でステロイド注射を受けておくというケースも多い。「予防」にかかる費用は原則として医療費控除の対象とはならないが、花粉症に関してはあくまで「早めの治療」として認められ、控除対象に含まれる。

 

 また最近では、アレルギー物質を含むエキスを舌の裏に投与して免疫力を増加させるという「舌下免疫療法」を受ける人も多いが、この舌下免疫療法も診察料や検査費はすべて控除対象だ。同療法は数年間継続する必要があり、初年度にかかる費用は4万円~5万円程度といわれる。

 

 税金面で微妙なのが、花粉症かどうかを確かめるアレルギー検査の費用だ。これは人間ドック費用と同様、原則として控除対象にならないが、検査の結果アレルギーが発見されて、治療が必要となれば検査代も控除対象に含まれる。検査の段階から〝治療〟が始まっているという解釈だ。少なくとも花粉症に悩まされている人が「何の花粉に反応しているのだろう」と検査を受ける分には、控除対象と認められる可能性が高いと言える。

 

 ただし、花粉症患者がこの時期手放せないマスク代やティッシュペーパー代は、原則として控除対象とはならない。また花粉をカットする眼鏡も対象にならない。さらにサプリメントなどで「医薬品」の表示のないものは、医師の指示がある場合を除いて対象にならない。

 

 顔に噴射することで花粉の付着を防ぐという売り文句のスプレーも医薬品ではなく雑貨扱いのため、医療費控除には含められない。控除対象となるのは、原則として「医薬品」表示があるものと覚えておきたい。(2021/02/24)