結局どうなるビール課税

外国産も「ビール」表示に


 ビールの定義は時代や国によって様々で、ヨーロッパでは多様な穀物やフルーツを副原料としてふんだんに用いたものも「ビール」としている国もあれば、16世紀のバイエルン(現ドイツ)でヴィルヘルム4世が制定したビール純粋令を堅持し「麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」と厳密に定められることもある。

 

 日本では、1901(明治34)年に「麦酒税」が導入されて以降、長く「ビール」の定義ひとつで〝規格〟は1種類であったが、平成以降も「嗜好品」と位置付けられ高税率が続くビールに対し、その枠を超える飲料を業界が開発して販売を始めた。

 

 すると、国はその流れを追いかけるように税率を改め、現在は原料の配分量よって「ビール」「発泡酒」「新ジャンル商品」(いわゆる第三のビール)と、酒税法で3種類に分けられている。そして今後、酒税法改正により「ビール」の定義が段階的に見直され、最終的には一本化されることになる。

 

 まず、今年4月に、ビールの麦芽比率要件が現行の67%以上から50%以上に緩和され、副材料の範囲にフルーツや香味料が加えられる。そして23年10月からは「発泡酒」の範囲に現行の「新ジャンル」が移行する。同時に税率も、20年、23年、26年と3段階で調整し、「ビール」を引き下げて「新ジャンル」を引き上げ、最終的には1缶54円に統一する予定だ

 

 結果として現在の「ビール」は減税となり、「新ジャンル」は増税ということになる。消費税が基幹税となったいま、酒類だけ別枠で税金を課すことへの根本的な疑問もあるが、旧来の酒税法による「ビール」好きにはありがたい話かもしれない。

 

 少なくとも、これによってこれまで「ビール」として扱われなかったベルギーやドイツの伝統的ビールも日本で堂々と「ビール」と名乗れるようになる。なお、日本で一人あたりが消費するビール系飲料は41リットルで世界第54位。1位はチェコの143リットルで、ナミビア、オーストリア、ドイツと続いている。(2018/04/18)