結婚した未成年は「オトナ」扱い

民法の成年擬制


 50歳まで一度も結婚したことがない人が占める割合(生涯未婚率)が、年を追うごとに上昇している。国立社会保障・人口問題研究所が5年ごとに実施している調査によると、2015年は男性23・4%、女性14・1%で、前回調査と比べてそれぞれ3ポイント以上増え、過去最高を更新した。男女ともに5%前後だった四半世紀前から大きく上昇している。

 

 生涯未婚率の上昇は、社会の変化に伴って生き方の多様化が進み、「未婚だと一人前ではない」という旧来の考え方が減少したことも一因だと言われる。婚姻しているからといって必ずしも未婚の人より成熟しているわけではない、ということは確かだろう。だが民法には、結婚した未成年を「大人」とみなす規定がある。

 

 現行法上の成年は20歳以上の人を指し、10代だと原則としてマンションの賃貸契約などの法律行為を単独では行えない。しかしその原則が絶対的なものだとすると、未成年の夫婦は家を借りたり子どもに関する契約を結んだりすることができず、いちいち自分の親に頼らなければならなくなる。

 

 そこで民法では、未成年者にも成人としての地位を与える「成年擬制」のルールとして、「未成年者が婚姻をしたときは成年に達したものとみなす」(同753条)と定められている。民法改正で18歳以上が成人となるが、現行法でも結婚すれば成人扱いとなる。

 

 成年擬制の地位は、たとえ離婚しても消滅しない。離婚した途端に契約行為が不可能になり、親権も消滅してしまえば、婚姻期間に生まれた子の生活が脅かされるためだ。なお、成年擬制の効果は基本的に民法以外には及ばない。そのため、結婚して民法上は成人とみなされても、別の法律に基づく成年の権利は認められず、例えば16歳の妻に選挙権はない。20歳以上に認められている飲酒や喫煙も法律上は認められていない。(2019/02/05)