米国でも混乱 仮想通貨の確定申告

大多数が〝だんまり〟


 米国は、日本よりも確定申告期が1カ月ほど長い。日本の確定申告でも「仮想通貨」の取り扱いが話題となったが、それは米国でも同様。申告に当たっての混乱は日本のそれを上回ったようだ。

 

 日本では昨年9月の時点で国税庁が、「仮想通貨によって得た利益は雑所得に当たる」とする暫定的な見解を出し、さらに12月には所得の計算方法についてのQ&Aを公表するなど、申告するために最低限必要な情報を納税者へ提供していた。

 

 しかし米国では、確定申告期が始まってからようやく、内国歳入庁が仮想通貨に対する初の見解を示した。しかも「仮想通貨は資産にあたり、売買益だけでなく給料として受け取っても課税対象となる」という簡単な内容のみで、仮想通貨が分裂したケースではどう扱うのか、取得価格はどう計算するのかといった詳細は分からないままだった。

 

 結局、仮想通貨の取り扱いに不明確な部分を残したまま確定申告期は進み、4月17日に一応の終了を見たわけだが、仮想通貨で利益を得た人が漏れなく申告したかどうかは、疑問と言わざるを得ない。

 

 米国の経済番組が示したデータによると、申告期終了1週間前の時点で、仮想通貨による利益を申告した人はなんと100人ほどに過ぎず、投資した人のうち0・1%にも満たないという。もちろん最後の1週間で申告した人もいるので、最終的な割合は増えるだろうが、それでも大多数の人は仮想通貨の利益について〝だんまり〞を決め込んでいると予想される。

 

 歳入庁の公式見解が遅れるなど、仮想通貨を巡る課税の方針が政府内でも固まっていないという現状が、こうした無申告を助長させたことは間違いないだろう。(2018/07/18)