特別縁故者への分与

遺言を書いておかないとトラブルにも


 独身、子どもなしで、兄弟姉妹のいない人は、両親や祖父母が他界すると、自分の死後に財産を受け取る相続人が存在しなくなる。おじやおばは相続人にはなれないからだ。そのため本人が死亡すれば、所有していた土地や家屋、貯金などの財産は、すべて国のものとなる。

 

 ただ、この「一人っ子独身者」が死去した後、相続人でなくても「特別縁故者」として裁判所に認めてもらうことで財産を受け継ぐことが可能になる。

 

 特別縁故者になれるのは、被相続人と生計を同じくしていた人物、被相続人の療養看護に務めた人物、その他被相続人と特別の縁故があった人物――とされている。

 

 特別縁故者であることを認められようとする者は、相続財産分与請求を家庭裁判所に申し立てることになる。特別縁故者には内縁関係にあった者がなるケースが多いが、仮に法人であっても認められることがある。被相続人が生前、経営者として深く関わっていた企業や、その発展に寄与した学校法人、宗教法人なども多い例だ。

 

 なお、相続人が誰もいないと分かると、ほんの少しの付き合いでも特別縁故者を名乗って手を挙げる人も出てくる。そうしたことを防ぐためには、本当に世話になった人に遺言を書いておくなど、証拠を残すことも必要だ。(2019/12/11)