ペットに遺産を残したい

負担付き遺言か遺産信託か


 ペットに家族同様かそれ以上の愛情を注ぐ飼い主は多い。自分の死後に財産を残しておきたいと思う人がいても不思議ではないのだが、今の日本の民法ではペットに遺産を相続させることはできない。あくまでもペットは「物」として扱われ、相続や遺贈を受けることができる相続人(つまり人)に該当しないためだ。

 

 したがって、ペットに財産を相続させるような遺言を作成していたとしても、その遺言は法律上無効とされる。そのため「遺産信託」を利用して遺産を信託管理人の管理下に置き、ペットのために遺産を使ってもらうように設定する方法が考えられる。

 

 相続人に「遺産を受け取るとともに、ペットの面倒を見なければならない」という遺言を残しておく「負担付き遺贈」に比べても、「ペットに財産を残す」という希望に近い仕組みと言えるだろう。ちなみに、ペット大国アメリカでは多くの州でペットに一定の財産を相続させるための制度があるという。(2019/12/13)