消費税の仕入税額控除

請求書がない場合は?


 消費税の仕入税額控除を適用するには、課税仕入の事実を記録した帳簿と取引先から受領した請求書などを保存する必要がある。しかし、1回の取引の対価が3万円未満の場合や、請求書の交付を受けないことに「やむを得ない理由」があるときは帳簿のみの保存で控除することも認められている。

 

 ここでいう「やむを得ない理由」とは、自動販売機での課税仕入や鉄道の乗車券などのほか、証明書類が資産譲渡の際に回収されてしまう課税仕入や、請求書の交付を請求したものの受けられなかった場合、課税期間末日まで支払対価が確定せず後に請求書の交付を受けた場合などが該当する。

 

 ただし、電車など一定の旅客運賃や、郵便役務の提供の対価以外は、帳簿に請求書を受けなかった理由と取引相手先の住所などを記載しなくてはならない。また、店舗や事務所などの賃料を口座振込にして、領収書を受け取っていないのであれば、建物賃貸契約書と振込金受取書を保存していればよい。賃料の改定があった場合には変更契約書も合わせて保存する必要があるので注意したい。

 

 なお、インターネットを通じた取引で請求書そのものが作成されないために当該データ以外の保存が行えない場合は、請求書の交付を受けなかったことにつき「やむを得ない理由」に該当するものとされている。(2021/01/18)