期をまたいだ損失

値引き、返品、割戻しなどの処理


 前年に出荷して売上を計上した製品に不備が見つかってしまい、今年になって大量に返品されるという事態が起きたとする。すでに前年分の確定申告書は提出した後だが、修正申告を行うべきだろうか。

 

 このように前期に売り上げた商品について今期になって損失が発生した場合は、すでに済ませてしまった前期の申告を修正する必要はなく、当期の売上高から控除すればよい。その際には、相手方から返品の通知を受けた日か、または返品を受けた日の事業年度の損失として計上する。

 

 返品以外でも、前期に納品した製品を今期になってから大幅に値引きしたり、大口顧客への割戻しをしたりした際の取り扱いも同様だ。修正申告は行わず、値引きなどを取引相手に通知した日の事業年度で損失を計上することになる。

 

 また、返品された商品が課税仕入れの対象であれば、消費税についても調整しなければならない。返品などによって生まれた税額の差異を当期の消費税額に反映させて調整する。売上高同様に、売上を計上した期でなく、返品などが実際にあった期で調整するので気を付けたい。

 

 なお、途中で課税事業者から免税事業者、または免税事業者から課税事業者に変わっている場合には注意が必要だ。免税事業者だった時期の取引について課税事業者になってから受けた返品、それとは逆に課税事業者だった時期の取引について免税事業者になってから行った割戻しなどについては、原則として消費税の調整を行うことができない。(2018/04/24)