定期同額給与の改定

3か月経過してもOK


 従業員への給与とは異なり、役員報酬は厳しい条件をクリアしないと会社の損金にできない。これは、報酬額を決める立場にある役員がいつでも自由に設定できてしまうと、会社の業績に合わせて利益調整が可能となるからだ。

 

 役員報酬が損金として認められる方法はいくつかあるが、その代表的なものに定期同額給与がある。「一定の期間ごとに支給し、毎回の支給額が同額」という定期同額給与の条件を満たすことで、中小経営者の多くが月々の報酬を損金化しているだろう。

 

 この定期同額給与の金額を見直したい場合には、原則として事業年度開始の日から3カ月を経過する日までに改定しなければならない。この期間内に社員総会や株主総会などを開催して改定を決定すれば、たとえ実際の支給日が事業年度開始から3カ月をオーバーしていても、ちゃんと定期同額給与として認められる。

 

 また、例外的に事業年度の途中での改定が認められる理由としては、役員の職制上の地位の変更があったり、職務内容の重大な変更(臨時改定事由)があったりしたケースがある。加えて、事業年度中に法人の経営状況が著しく悪化(業績悪化改定事由)した場合も改定理由として認められることがある。これらの理由なく、例えば事業年度開始から半年後に役員給与の改定をすれば、改定前と改定後の差額は損金にできないので注意したい。(2021/03/03)