兄弟姉妹には遺留分なし

遺言次第で取り分なしにも


 子や祖父母などの法定相続人には、財産の最低限の取り分である「遺留分」が保障されている。そのため妻に財産の全てを残したいという思いがあっても、他の相続人に遺留分だけは渡さなければならない。しかし、自分が死んだときに法定相続人になるのが配偶者と自分の兄弟姉妹だけなら、遺言書を残すことで全財産を配偶者に渡すことが可能となる。

 

 遺産分割は民法に定められた「法定相続分」を基に分けるのが基本だ。まず配偶者や子がいれば、その人は必ず法定相続人となる。子やその代襲相続人がいなければ親に、親もいなければ兄弟姉妹に法定相続の権利が移る。

 

 配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続人の場合は、配偶者は全財産の4分の3を、兄弟姉妹は4分の1を受け取るのが法定相続だ。兄弟姉妹が複数いれば4分の1のなかで均等に分け合う。

 

 遺留分は相続人が配偶者と子どもならともに財産の4分の1、配偶者と親なら配偶者が3分の1、親が6分の1となる。ただし、法定相続人のうち兄弟姉妹だけは遺留分を認められていない。つまり遺言書に「妻に全財産を譲る」といった内容を記載すれば、兄弟姉妹は財産を一切受け取れないということになる。(2018/12/05)