修繕費を全額損金に

原状回復か資本的支出かで判断


 決算期の企業が検討しなければならないことのひとつに、社内資産の修理や改良がある。それらを年度内に済ませ、「修繕費」として全額損金に計上できることもあるからだ。

 

 ただ、国税当局ではこうした企業の腹づもりは承知済み。税務調査では修繕費の内容や金額によって、固定資産(建物、建物付属設備、機械装置、器具備品など)の取得価額となる「資本的支出」に当たないか、厳しくチェックする。

 

 資本的支出に当たると指摘された場合、全額を損金計上できなくなる。企業としては、固定資産の減価償却で数年かかって経費化していくのではなく、全額を損金計上したいわけだが、どんなものでも修繕費になるわけではない。

 

 修繕費は、固定資産の通常の維持管理、または壊れた部分の原状回復のための支出を指す。一方、資本的支出は、その資産が使用できる期間を延長させたり、価値を増加させたりするために支出した金額をいう。

 

 通達ではこれ関して、①修理や改良の費用が20万円未満の場合、②おおむね3年以内の周期で修理・改良が行われている場合――といった判断基準に沿うものは、修繕費として損金計上できるとしている。(2017/11/01)