「仮登記」されている不動産にはご用心

権利を失うリスクあり


 購入する不動産の登記簿記録の現在情報に「仮登記」の文字を見つけたら要注意だ。将来的に所有権などの不動産の権利を失うことになりかねない。

 

 仮登記は、必要書類が間に合わないケースなど本登記ができない状況で「将来的に条件が整えば本登記をします」と事前予約するもの。本登記と違い自分の権利(所有権や抵当権)を第三者に主張できる「対抗力」はない。

 

 例えばAさんが仮登記した後に、Bさんが本登記すれば、権利を主張できるのはBさんだけだ。しかしAさんが、条件が整ってから本登記に切り替えることができれば、仮登記した日にさかのぼって本登記と同じ効力が生まれる。そして、Bさんの本登記は登記官の職権で抹消される。そうなると所有権などの権利を主張できるのはAさんだけになる。

 

 つまり登記は〝早い者勝ち〞であり、仮登記しておけば将来的に「先に登記した」と主張することができるわけだ。反対にBさんからすれば、先に本登記していても、いつ権利を奪われるか分からないということになる。

 

 不動産の登記簿に「所有権移転仮登記」といった記載があれば、他者に本登記されてしまうことで自分の本登記が抹消されるリスクがある。将来の不安をなくすために、仮登記名義人の協力のもとで抹消手続きを行うようにしたい。(2018/03/02)