カクテルは酒税法違反?

その場で提供・消費すればOK


 日本でお酒に関する最も古い税の記録は14世紀初めの正和年間にまでさかのぼるという。京都の神社建立の造営費用にあてるため、酒屋に課したものが最初だとされている。

 

 酒にまつわる税金は現在まで続き、1896(明治29)年に酒造税法が成立。現行の酒税法は1953(昭和28)年に施行された。

 

 酒税法では、アルコール飲料の種類や酒類にかかる税率などを定めるほか、酒類を製造するための免許などについても厳格に定めている。また、「酒類に水以外の物品を混和した場合において、混和後のものが酒類であるときは、新たに酒類を製造したものとみなす」とされていることから、バーテンダーがカクテルを作っても厳密には「酒造」に該当することになる。

 

 では、バーテンさんの全てが酒類製造免許を持っているかというと、まずそんな人はいない。にもかかわらず酒税法違反で検挙されることがないのは、酒場やレストランでお客さんの求めに応じ、または自分が飲むために、「消費の直前に混和した場合」は、その法律は適用されないことになっているためだ。

 

 なお、酒場ではなく自分の家で作るカクテルも本来は酒類の製造に当たるのだが、上記の規定によって免許は不要となっている。家庭で作る梅酒も基本的には酒造なのだが、糖類や梅のほか、財務省令で定められたものを自分が消費するために作るのであれば、適用外とされている。そのため、認められていないものを混ぜてしまうと、思わぬところで酒税法違反に問われることになるかもしれない。(2018/05/21)