年間にかかった医療費のうち10万円を超えた部分を所得から差し引ける「医療費控除」だが、適用するためにはいくつかの条件がある。病気やけがの治療にかかった費用は当然「医療費」と認められるが、インフルエンザのワクチン接種など、「予防」にかかった費用は対象とならない。
同じことは新型コロナウイルスのPCR検査にも当てはまり、感染の疑いがあるとして医師の指示で受けたPCR検査の費用は控除対象となるが、「念のために」と自費で受けた検査代は原則として医療費控除の対象にはできない。
しかし自発的に受けたPCR検査の結果、陽性と判明して治療に移行した場合には、医療費控除の対象となる。新型コロナに限らず、検査によって病気が見つかれば、その検査は治療に先立って行われた診療とみなされ、全額を医療費控除の対象にできる。
なお事業者がPCR検査の費用を負担した場合、それが全従業員を対象としたものであれば福利厚生の一環として損金に算入できるが、一部の役員のみを対象とするようなものであれば役員報酬扱いとなり、役員本人には所得税が課され、法人の損金にもできないので気を付けたい。(2021/04/02)