業務用として使用する自動車の取得費は、一定期間での減価償却が認められているが、これは一見して業務用と分かるトラックや、社名などをボディペイントしたクルマに限ったものではない。ただ、実態が業務用であっても、いわゆる高級車は減価償却資産として認められないことがあり、当局と争いになることも少なくない。
1993年には消費者金融業を営む経営者の所有する2700万円のフェラーリが、減価償却資産になるかどうかが国税不服審判所で争われ、年間走行距離や公私の区別ができている点などから認められたことがあった。スポーツタイプの2ドア高級車であったとしても、経費として認められるケースがあるということだ。
税法上では個別の車種や排気量などよる明文規定はないことから、世間では俗に「2ドアはダメ」「派手な色はアウト」「オープンカーは論外」など様々な憶測が飛び交っている。だが、あくまでも判断基準は業務上利用しているかどうかだ。そのため、車庫証明が社長宅であったり、走行記録がなかったりすれば、当然ながら疑いの目を向けられることになる。つまり、「税務署が否認する根拠を示すかどうか」ではなく、「納税者側が業務用として使用している実態と、根拠を示さなければ経費にできない」ということだ。(2020/02/28)